ITコンサル業務につかえるポイント
1) トラブル発生の原因は、まずこちらにあるかもと考える
2) かけた時間では評価されない
3) プロジェクト成功の原因は自身の実力だけではない
行動経済学の理論(項目)の一つである、公正世界仮説 – Just-World Hypothesis – をもとに
ITコンサル実務で活用可能なポイントを紹介します
公正世界仮説とは
公正世界仮説(こうせいせかいかせつ、just-world hypothesis)または公正世界誤謬(こうせいせかいごびゅう、just-world fallacy)とは、人間の行いに対して公正な結果が返ってくるものである、と考える認知バイアス、もしくは思い込みである。
良いことをしたら良いことが返ってくるはず、という考え方です
努力は報われるし、信じる者は救われる
と聞くと、「かなりバイアスだなぁ」と感じるでしょう
しかし他のバイアスと同様、逃れることは難しく
色々な場面で見かけます
そのため意識的に対応するようにしましょう
ITコンサルとして活動する上で
公正世界仮説的なバイアスはマイナスに働きます
具体的な例を見て考えていきましょう

ITコンサルの業務に活用する
活用ポイント1) トラブル発生の原因は、まずこちらにあるかもと考える
悪いことが起こった場合その原因となる悪いことをしたから、
と考えがちです
例えばお客様にトラブルが発生した時、無意識に
「お客様が何かの操作をミスしたのでは」と考えた結果
トラブル解決に向けた活動が遅くなっている、
あるいは悪くなっている可能性があります
人間は基本的に、楽したい、自分は正しい、自分は悪くないと考える生き物です
だからこそ、自身が悪いのかも(こちらに原因があるのかも)と
考えることはハードルが高く、価値があります
トラブルの原因が実際にお客様にあるかどうかは関係ありません
公正世界仮説をベースに考えると、
トラブル時、お客様側でも「自身が悪かったのかも・・・」と感じているかもしれないため
私たちが解決に向けて貢献できた際の喜びはさらに大きいでしょう
活用ポイント2) かけた時間では評価されない
良いことをしたら、良いことが返ってくることを期待してしまいます
プロジェクトにおいて作業を行ったり資料を作ったりする際
時間をかければかけるほど、評価がほしくなってしまう感覚はないでしょうか
自身にとって、かけた時間は貴重なものであり、価値が高いですが
お客様から見ると、成果物が最も重要であり価値があるものです
つまり、時間をかけたこと自体は「良いことではない」ということですね
価値をアピールしたい場合、時間をかけたことではなく
時間をかけた結果、良くなった成果物の中身をアピールしましょう
活用ポイント3) プロジェクト成功の原因は自身の実力だけではない
プロジェクトに限った話ではありませんが、
何か業務上で成功した際
自身が良い仕事をしたから成功した、と考えがちです
しかし実際の成功の要因は複雑であり、
お客様の環境や、タイミング、体制、時流など
様々なことが絡みます
自身の働きがすごかった、で終わってしまうのは簡単ですが
実は自身はあまり貢献できておらず、周りのサポートのおかげかもしれません
より成長し、次につなげるためにも、
バイアスを極力排除し、
「私の仕事の足りない部分はどこだっただろう」
ぐらいに考えるのがよいでしょう
「自分なんて全然ダメだった・・・」
などと過度にネガティブになるのは精神的にも、周りからの印象的にもよくありませんので
表に出すのはある程度自信のある姿でよいでしょう
まとめ
行動経済学の理論の一つ、公正世界仮説をもとに
良いことをしたら良いことが、悪いことをしたら悪いことが返ってくるとは限らないため、
バイアスを排除し、何が本当の要因だったのかを冷静に考えて次の機会に活かしましょう
というITコンサル現場での活用方法を紹介しました
ぜひ明日からの業務で意識していただければと思います
本ブログでは
行動経済学をお客様を良い方向、最適な方向に導くための効果的な方法の一つとして紹介しています
「自身の都合のいいように操る、誘導する方法」では断じてありません、ご留意ください
他にもITコンサルの現場で使える知識をブログで紹介していますのでご覧ください
ITコンサルだけではなく、SIerやSESの方々にも有益だと思います