ITコンサル業務に明日活かせるポイント
1) お客様の過去の経験に負けない
2) 見せる情報をとにかくシンプルに
3) お客様の考えに沿う情報を提示する
行動経済学の理論(項目)の一つである、ヒューリスティック – Heuristic – をもとに
ITコンサル実務で活用可能なポイントを紹介します
これで行動経済学シリーズは密かに目標にしていた20記事目ということで一段落です
書きたかった主な項目はかけたように感じます
ヒューリスティックとは
対象の振る舞いや外面的特徴などの限定的な情報から本質を推測するなど、経験則的で解の精度を保証しないが、平均的には正解に近い解を得ることができる方法である。
考える際、経験に基づいて直感的に結論を出す傾向であり
俗に「経験則」と言われます
人間の「あんまり考えたくない」本能が出ていますね
「バレー部の友達が・・・」と言われると背が高い人をイメージし
「警察官が・・・」と言われるとなんとなく男性をイメージするのではないでしょうか
ヒューリスティックはかなり広い概念であり、
日常生活の中でも至る所で見られる傾向です
デフォルト効果など、行動経済学の多くの項目の元にもなっているため
紹介する対象が絞りづらいところですが・・・・
特に有効なものを書いていきます

ITコンサルの業務への活用ポイント
活用ポイント1) お客様の過去の経験に負けない
新システムの検討をしている際、
お客様は過去に一度うまくいった方法をとりたくなるし、
経験に基づいて判断をしたくなるものです
経験など、思い出しやすい情報を過大評価する傾向を
「利用可能性ヒューリスティック」といいます
経験という強いバイアスに縛られず、
フラットな目で最適なシステムを模索するように努めましょう
例えば、「今まで手作業で設定変更してきたし、結局手作業が一番良いのです」
と思っているお客様に対して、自動化の提案を行うのは勇気がいります
しかし、自動化が最適だと思えるのであれば、
お客様の経験則に負けず、裏付けや事例を集めて戦いましょう
活用ポイント2) 見せる情報をとにかくシンプルに
シンプルな図や表がわかりやすい、と昔から言われています
わかりやすいだけではなく、結果として意思決定も早くなるため
シンプル化が非常に重要です
ポイントは、正しいデータよりも、直感的に理解できるデータが良いことです
調べた情報を盛り込みたくなるし、抜け漏れなのない情報を入れたくなる気持ちはわかります
でも重要なのはお客様が正しく理解し、意思決定することです
どれだけ盛り込むかではなく、どこまで情報を引いてもお客様が正しく判断できるかを考えましょう
当たり前の話かもしれませんが、基本的には文字よりも図の方が効果的です
文字の方が書くのが楽ですが、システムアーキテクチャ図や全体構成図など、
キーとなる部分だけは図を書くようにしましょう
一枚あるだけでだいぶ印象が違います
直感的に理解できる情報が意思決定を左右することを
「システマティック・ヒューリスティック」といいます
活用ポイント3) お客様の考えに沿う情報を提示する
自分の話したい内容よりも、お客様が聞きたい内容を話しましょう
基本かもしれませんが、非常に難しいことだと感じています
背景にあるのは、自分の考えを裏付ける情報を優先的に集める傾向です
ヒューリスティックの一種であり、「確証バイアス」といいます
名前は聞いたことがあるのではないでしょうか
お客様の考えに沿わない話はかなり受け入れづらいことを意識し、
まずはお客様の思考の方向性を理解するように努めましょう
例えば、同業他社のセキュリティ事故をものすごく気にしているお客様に
(独りよがりな)システム拡張の提案をしても刺さりません
難しいのは、こちらが特に有効と考えている提案が、お客様のと合わない場合です
「新しいWebサイトを作ってほしい」と言っているお客様に対して
「Webサイトの前に、まずは御社の強みを整理して、差別化をどう図るかが大事です、整理を先にやりませんか」
という話をしてしまい、結果的に話は流れました・・・
思い返すと、「はい、まずはWebサイト、作りましょう!」と乗っておいて
その過程で(こっそり)強みを探していく形がよかったなぁと感じます。
このWebサイトの話でも分かる通り、確証バイアスはITコンサル側にも発生しています
「この提案はお客様にとって良いに違いない」と思い込むことは
採用されない可能性を上げることに繋がります
思い込み過ぎず、柔軟な対応をしつつ、お客様に最適な解を探す
という難しいことをやっていきましょう
まとめ
行動経済学の理論の一つ、ヒューリスティックをもとに
お客様の過去の経験も、ある意味でバイアスなので時には打ち破る必要がある
めんどくさくても、図を書くことで意思決定を促しやすい
お客様の確証バイアスに沿う形で、何が欲しい情報かを意識して提案することが重要
というITコンサル現場での活用方法を紹介しました
ぜひ明日からの業務で意識していただければと思います
本ブログでは
行動経済学をお客様を良い方向、最適な方向に導くための効果的な方法の一つとして紹介しています
「自身の都合のいいように操る、誘導する方法」では断じてありません、ご留意ください
他にもITコンサルの現場で使える知識をブログで紹介していますのでご覧ください
ITコンサルだけではなく、SIerやSESの方々にも有益だと思います