ITコンサル業務に明日活かせるポイント
1) 大き目の価格のサービスと合わせて提案する
2) 初めにポジティブな情報を伝える
3) あえて幅を持たせて、数値を伝える
行動経済学の理論(項目)の一つである、アンカリング効果 – Anchoring Effect – をもとに
ITコンサル実務で活用可能なポイントを紹介します
アンカリング効果とは
アンカリングとは認知バイアスの一種であり、先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向をさす
アンカリングはかなり有名な言葉ですし、聞いたことはあるでしょう
何か数値を見てしまうと、その数値に引っ張られて考えが制限されます
非常に強いバイアスであり、日常的に至る所で見られます
「1万円の掃除機が、なんと80%オフで2,000円!」などですね
なんだか安そうなので買いたくなりますが
実際には2,000円の方が適正価格である可能性がかなり高いですよね
しかし
「原価が1,500円だとすると1万円で売ってたら利益8,500円か、やばい利益率だな、そんなわけないよね」
とまでは考えません

ITの現場で活用する場合、重要なのは
情報の出し方や出す順番によって、相手の印象が大きく変わる
ことです
具体的な活かし方を考えていきます
ITコンサルの業務への活用ポイント
活用ポイント1) 大き目の価格のサービスと合わせて提案する
「50%オフ!」と書いて提示しましょう、という話ではありません
最終的に売りたい(妥当と考えている)サービスを選びやすくしましょうというお話です
例えば
松、竹、梅の3つの弁当を売っている場合、
松を1万円にしておくと竹が3,000円などでちょっと高くても売れてしまう
という例があります
1万円の弁当に引っ張られて、3,000円が安く見えてしまうということですね
見せ方としては、売りたいサービスよりかなり高いサービスを合わせて提示し、
売りたいサービスを2番目におきましょう
さらに、「我々としてはXXXXの理由で2番目がおすすめです」などと後押しするとよいでしょう
転職活動などで給与交渉をする際、はじめに大きめの数字を出すことで、少し優位に進むかもしれません
色々な記事で書いて恐縮ですが、お客様をむやみに誘導するために使ってはいけません
売りたいサービスの品質や価格が、そもそも適正であることは非常に重要です
活用ポイント2) 初めにポジティブな情報を伝える
何か質問を受けた際、注意点や例外など、ネガティブな情報から伝えていませんか?
経験上、特に技術的な話題でやってしまうことが多いです
例えば、「結局クラウドの方がオンプレよりいいんですか?」
と聞かれた場合、
「クラウドは回線の安定性が必要で―、
さらに価格面も実はけっこう高くなったり―、
など色々ありますが、これらを考慮したうえで、今回はクラウドがおすすめです」
といったやりとりを見たことはないでしょうか。ありますよね。
まず、結論から述べましょうとよく言われるとおり、
「はい、全体的に言うと今回はクラウドがおすすめです」
から入りましょう
お客様の気持ちの安心感が全然違います
おそらく、技術者は技術的な知識が多く
色々な注意点を思いついてしまうため、こういうことになるのだと思います
お客様のことを考えてまずは結論をお伝えし、注意点などは後回しです
他にも、他社事例を求められた際、
最初に大きな成功プロジェクトの例を提示しましょう
残りの事例は注意点や多少の失敗を含んでいても大丈夫でしょう
活用ポイント3) あえて幅を持たせて、数値を伝える
特に、上振れした数値を伝えましょう
例えば、プロジェクトの予定期間が3か月であれば、
「このプロジェクトでは、だいたい3〜6か月の期間が必要です」
と提示することで、3か月が短く、6か月が妥当に見えます
この場合、3~6か月という数値にアンカリングされているわけです
「だいたい1~4か月かかりますが、今回は3か月でいきましょう」と
「だいたい3~6か月かかりますが、今回は3か月でいきましょう」の
どちらがお得感があるでしょうか。
構築作業の遅延が発生した際も同様で、
15分遅れそうであれば
「30分近く遅れそうです」ぐらいで伝えましょう
気持ちとしては短い時間を言いたいところですが、
「10分遅れそう」とお伝えしておいて
15分遅れると印象がかなり悪いです
まとめ
行動経済学の理論の一つ、アンカリング効果をもとに
価格や情報を提示する際、インパクトの大きいものを最初に出すことでその後の印象を変えることができる
というITコンサル現場での活用方法を紹介しました
ぜひ明日からの業務で意識していただければと思います
本ブログでは
行動経済学をお客様を良い方向、最適な方向に導くための効果的な方法の一つとして紹介しています
「自身の都合のいいように操る、誘導する方法」では断じてありません、ご留意ください
他にもITコンサルの現場で使える知識をブログで紹介していますのでご覧ください
ITコンサルだけではなく、SIerやSESの方々にも有益だと思います