ITコンサル業務につかえるポイント
1) 他部署の協力を得るためのベースは敬意
2) 他社のソリューションを冷静に評価する努力をしよう
3) 相手も自身の集団に入れてしまう
行動経済学の理論(項目)の一つである、内集団バイアス – in-group bias – をもとに
ITコンサル実務で活用可能なポイントを紹介します
内集団バイアスとは
自分が所属する集団(内集団)のメンバーの方が、それ以外の集団(外集団)のメンバーに比べて人格や能力が優れていると認知し、優遇する現象を内集団バイアス、あるいは内集団びいきと言います。
自身と同じチームや、同じ趣味などの人を
本来よりも高く評価してしまう性質です
・社内: 同じチーム内の人 > 他チームの人
・社外: 自社の人 > 他社の人
など、色々なレベルでのチーム分けが発生します
とにかく自身が属している集団がすごいと思うことで
安定を求めることになります
日常生活でも仕事でも、至る所でみられるバイアスです
内集団(自身)について本来の価値とは異なった評価をしてしまうことで
外集団(他の人)の評価と食い違うことになるため、注意が必要です
具体的な例を見て考えていきましょう
ITコンサルの業務に活用する
活用ポイント1) 他部署の協力を得るためのベースは敬意
敬意さえあれば協力が得られる、という話ではもちろんありません
ベースとして敬意が重要ですので、相手を外集団においてしまうと危険、という話です
各部署で担っている役割があり、
その役割をきちんと遂行するのは当然です
そのため他部署にお願いして、真正面から断られることはあまりないでしょう
しかし肝心なのはモチベーションの部分です
役割だから、という理由だけでは相手はやる気になりませんし
実際の進み具合も今一つになるでしょう
優秀なコンサル部隊である自分が頼んでるんだから
他部署(営業部隊など)はすぐに行動してよ
と考えていると、だいたい相手に伝わりますし、望んだ結果は得られない可能性が高いです
それは極端な例でしょ・・・
と思う方もいるかもしれませんが、
程度の差こそあれ、現場で実際に目にすることは結構あります
人間は感情で動く部分が多いため、
まずは自身の集団が中心、という考えはやめた方がいいでしょう
相手の集団側も同じく内集団バイアスが働いていますので、
お互いが「自身の方が上だ!」と言い合っていては
円滑なコミュニケーションは到底望めません
活用ポイント2) 他社のソリューションを冷静に評価する努力をしよう
自社のソリューション(や製品、サービスなど)への
自己評価が高くなってしまいがちなので
お客様と同じ視線を持つように努め、評価しましょうというお話です
自身の提案内容が一番良いと思えるほどに
内容を充実させる意気込みはもちろん重要です
しかしお客様は他社からの提案も受けており
お客様ごとの観点で評価しています
自身の提案内容を過信してしまいがちですが、
一歩引いて、お客様が何を気にしているのかを探るようにすると
より良い提案に近づくでしょう
活用ポイント3) 相手も自身の集団に入れてしまう
外集団においてしまった場合に、自分の方が優位に感じてしまう
ということは、相手も自身の集団(内集団)にしてしまえばバイアスを軽減できます
しかし内集団にするのは意外に難しく、かなり意識して考える必要があります
具体的な方法の一つとして、
目標や目的を共通のものとして意識づけることがあります
社内で揉めそうな空気を感じた場合、共通の目標をお客様に
チーム内で揉めそうな場合、共通の目標を課長、部長に置いてみましょう
例えば、今までそれほど仲良くなかったのに、
プロジェクトマネージャ(マネージャ等も可)の悪口を言いあうことで
仲良くなったことはないでしょうか
まとめ
行動経済学の理論の一つ、内集団バイアスをもとに
ITコンサルは自身の属するチームや、自身の提供するサービスを過信しがち
他のチームの気持ちを理解したり、共通の目的を作ることで過信に繋がるバイアスを軽減しよう
というITコンサル現場での活用方法を紹介しました
ぜひ明日からの業務で意識していただければと思います
本ブログでは
行動経済学をお客様を良い方向、最適な方向に導くための効果的な方法の一つとして紹介しています
「自身の都合のいいように操る、誘導する方法」では断じてありません、ご留意ください
他にもITコンサルの現場で使える知識をブログで紹介していますのでご覧ください
ITコンサルだけではなく、SIerやSESの方々にも有益だと思います