バンドワゴン効果を現場で活かすためのポイント
行動経済学の理論(項目)の一つである、バンドワゴン効果- bandwagon effect – を
ITコンサル実務で活用可能なポイントはこちら
・「他社でこんなに採用されています」を積極的にアピール
・実績を過大にアピールすると逆効果
・本当に価値があるのかを検討して提案
バンドワゴン効果とは
バンドワゴン効果(バンドワゴンこうか、英: bandwagon effect)とは、ある選択肢を多数が選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果。「バンドワゴン」とは行列先頭に居る楽隊車であり、「バンドワゴンに乗る」とは時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗るという意味である
Wikipediaより(外部サイト)
みんなが選んだものは、なんとなく良いものな気がする
という感覚を
みなさんもお持ちではないでしょうか
日常生活の中では、以下の例があります
- ホテルの予約サイトで「今XX人が見ています」
- 通販サイトでの「1万人が選んだ!」「98%の人が満足!」
- 食べログの評価値が4.X
商品やサービスの内容(実質的な価値)ではなく、
他人からの評価をベースに判断してしまう傾向がある
という点がポイントです
昨今ではWeb上での評価を上げるサービスも存在しますので
各Webサイトの評価は必ずしも信用できるものではない、
とは各自感じていると思います
しかし、それでも評価値は店や商品を選択する際の
大きな判断基準になっているのは間違いないでしょう
ITコンサルの現場にバンドワゴン効果を活かす
「他社でこんなに採用されています」を積極的にアピール
ITコンサルが提案を行う際、他社での採用実績をアピールすることはかなり重要です
他社が評価した事実だけで、かなり採用へのハードルが下がる印象です
各社のビジネス課題や置かれた状況が異なるため、評価軸も変わります
本来であれば各社の評価軸に沿って、改めて評価を行う必要があるのですが
基本的に人間は労力や負荷を下げようとするため、
自社の労力を割くよりも、他社の評価に乗っかる形をとる傾向がある、
ということになります
もし提案中のお客様にフィットする実績がない場合、
今回提案している内容と方向性が同じサービス内容であれば、受け入れられることが多いです
例えば、
DR環境としてクラウド活用を視野に入れた次期基盤更改に向けた
5か年計画(ロードマップ)の策定を支援するサービス
を提案している場合
キーワードはDR環境、クラウド、ロードマップですので
DR環境としてクラウドを構築した実績と
ロードマップ策定の実績があれば合わせて提示することで
今回の提案の全域をカバーできている印象を与えることができます
このサービスは自信があるし、提案書の流れもいい感じなのに、なぜか今一つ売れないな・・・
というときは、実績についてのアピールが漏れているのかもしれません
実績を過大にアピールすると逆効果
バンドワゴン効果の怖いところは、
実際の価値、(ITコンサルの場合はサービスの質)をそれほど考慮せずに
採用の判断が下されてしまう点にあります
食べログなどの評価が高い店にいって、
「それほどでもないな・・・」となった際の心理的なダメージは大きそうですね
期待してしまった分、失敗だった際のダメージも増加します
採用実績をアピールすることで、購買意欲を喚起できると書きましたが
採用実績だけでなく、サービスの内容や結果も本当は重要です
本当に価値があるのかを検討して提案
実質的な価値が無い、あるいは実態が無い実績を
お伝えするのはもちろん論外ですが
実績をお伝えする際は、
お客様のニーズに沿っているのか
サービスの価値が本当にあるのか
を考慮して提示するようにしましょう
正直なところ、実績を売り込んで採用が決まったものの
サービス提供フェーズに入ってから
お客様に「思ってたのと違う・・・」と言われているケースを何度か見てきました
製品やソリューションの提案時を想定してみると
例えばお客様が「自動化ソリューションが欲しい」と言っている場合
単純に自社の自動化ソリューションを出せばいい、というわけではありません
どのような自動化がしたいのか、どの範囲での自動化がしたいのかによって
向き不向きがあるためです
ネットワークの自動化であれば
仮想ルータを払い出したい
ACLやLBの設定を自動化したい
サーバ追加時のNW関連設定を一括で行いたい等
自動化の範囲は色々です
特に自社製品が存在する場合は
どうしても提案したくなるかもしれませんが、
お客様のニーズに合っていないことを
隠して提示することは
長期的に見てデメリットの方が大きいため避けましょう
まとめ
行動経済学の理論の一つ、バンドワゴン効果をもとに
・採用実績の提示は購買意欲向上に大きな効果があるため積極的に取り組むべきだが、実際の価値が伴わない場合には大きなリスクとなる点には注意が必要
というITコンサル現場での活用方法を紹介しました
ぜひ明日からの業務で意識していただければと思います
注意点ですが、本ブログでは、
行動経済学をお客様を良い方向、最適な方向に導くための効果的な方法の一つとして紹介しています
「自身の都合のいいように操る、誘導する方法」では断じてありません、ご留意ください
他にも現場で使える知識をブログで紹介していますのでご覧ください