ピークエンドの法則をITの現場で活かすためのポイント
行動経済学の理論(項目)の一つである、ピークエンドの法則 – Peak-End rule – をもとに
ITコンサルタント実務に活用可能なポイントを解説します
1) プロジェクトでのトラブルはピークを作るチャンスと捉える
2) ピークだけではなく終わり方を意識する
3) ミーティングの終わりでも印象付ける
ピークエンドの法則とは
われわれは自分自身の過去の経験を、ほとんど完全にそのピーク(絶頂)時にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)ならびにそれがどう終わったかだけで判定する、という法則である。ピーク以外の情報が失われることはないが、比較には使われない。それには喜びもしくは悲しみの総量、またその経験がどのくらい持続したかですらも含まれる。
Wikipediaより引用(外部サイト)
というものです。
イベントがあった際、
最も印象が強かった部分と、最後のみを記憶しがちであり
その他の部分は評価されない傾向にある、というものです
脳は基本的に省エネモードであるため、
より少ない情報で物事を記憶しておくための仕組みとも取れます
ピークエンドの法則を業務にどう活かすか
ピークとエンドが印象に残りやすい、という考え方を活用し
業務において、どういった印象を持たれるかをある程度改善できます
携わっているプロジェクトにおいて
どのあたりがピークになりそうか、
さらにエンドをどのように印象よく迎えるかを意識することで
全体的な印象が良くなります
ピークエンドの法則を意識することで
顧客により良い印象を与えたり、
少しうまくいかなかったプロジェクトでも印象が改善される可能性が高まります
ITコンサルの現場に活かす例
活用ポイント1) プロジェクトでのトラブルはピークを作るチャンスと捉える
誰でもトラブル対応は嫌ですし、できる限り起こしたくありません
しかしプロジェクトの途中で大きなトラブルがあった場合、
良い対応ができればピークとなり
終わってみれば良い印象を与えることができます
本来、プロジェクトはトラブルが無い方がよく
平穏に進み、終わりを迎える方がよいです
しかし、皆様の身の回りでも
いつもプロジェクトをノートラブルで終わらせている人
より
毎回大きなトラブルを起こしてしまいながらも、
頑張って火消しをしている人
の方が目立ったり、評価されているケースがあるのではないでしょうか
プロジェクトが終わった後の評価として
「全体的に頑張っていたね」ではなく
「あのトラブル対応はすごかったね」となることが多いのも
ピークエンドの法則に習っているといえそうです
念のためですが、ピークを作ることを狙ってトラブルを意図的に起こすことは絶対NGです
活用ポイント2) ピークだけではなく終わり方を意識する
プロジェクトの終わり方を意識しましょう
プロジェクトの最後にまとめの会を設け、
トラブル対応も含め、特にアピールできそうな点を
プロジェクト関係者に改めて伝えることで
ピークがあったことを伝えると共に、
「みんな頑張った良いプロジェクトだった」といった
エンドの印象を与えるように努めます
特に期間が長いプロジェクトであれば
昔の記憶はどんどん抜け落ちていきます
期間が長ければ長いほど、エンドの効果は大きいと思います
(期間が長ければ、途中で大きなトラブルも記憶が薄れて美化されている可能性があります)
活用ポイント3) ミーティングの終わりでも印象付ける
業務の中でミーティングを行うことは多々あります
ミーティングの印象にもピークエンドの法則を当てはめると
最後の締め方により全体的な印象を良くすることができます
具体的には、
ミーティングの最後に
・決めるべきことをきちんと明確にした
・次のアクションを明確にした
など、しっかりとやるべきことをやりました!
ということを明確に伝えましょう
ということです
ITコンサルがミーティングの司会進行を務めることは多いため
毎回気を配ることで全体的な評価につながるでしょう
さらに、会議のはじめに
「このミーティングでは、AとBとCを決めます」や
「時間は50分を見込んでおり、QAに10分設けます」
といった内容を伝えておき、実際に守るようにしましょう
(守れないと逆効果です)
そして最後に「冒頭にお話ししたA、B、Cはそれぞれこのように決まりました」
とまとめることで、ミーティングを全体的に制御できており、
いきあたりばったりで議論を進めず、
必要な議論をしている、という印象を与えることができます
同じようなお話で、冒頭に
と言っておくのと、
終了時間ギリギリに
と聞くのではずいぶんと印象が異なります
オーバーしそうなことが分かっている場合、
できればミーティングが始まる前にメール等で時間調整を行う形がベターです
時間オーバーはかなり印象が悪いことを意識しましょう
ミーティングだけではなく、セミナーで講師を行う際や、司会を行う場合でも同じですね
ミーティングのまとめをきちんとする、というのはノウハウとして当たり前の話ですが
実際にはできていることは少ないように感じます
実行できれば差になると心得ましょう
行動経済学の観点での裏付けもある、といえるので
より重要さが確かになると感じています
まとめ
行動経済学の理論の一つ、ピークエンドの法則をもとに
・最も盛り上がる部分(ピーク)と最後(エンド)を意識することで、全体的な印象を改善する
というITコンサル現場での活用方法を紹介しました
ぜひ明日からの業務で意識していただければと思います
注意点ですが、本ブログでは、
行動経済学をお客様を良い方向、最適な方向に導くための効果的な方法の一つとして紹介しています
「自身の都合のいいように操る、誘導する方法」では断じてありません、ご留意ください
他にも現場で使える知識をブログで紹介していますのでご覧ください