【行動経済学×ITコンサル】デフォルト値を信用せず、お客様環境を踏まえた設計を

行動経済学をITコンサルとして実践してきた経験を活かし、明日使える知識を紹介します
私のバックグラウンドや具体的なターゲットなどは導入ページをご参照ください

デフォルト効果を現場で活かすためのポイント

行動経済学の理論(項目)の一つである、デフォルト効果 – Default Bias – 

をもとに、ITコンサルタント実務に活用可能なポイントを紹介しています

ポイント
・初期設定(デフォルト値)がお客様の環境において正しいとは限らないため、疑うべき
・既存資料も信用せず、現状をふまえ良く考えて活用する

デフォルト効果とは

デフォルト効果(デフォルトこうか、英語: Default effect)は、認知バイアスのひとつで、予め選択されている意思決定や設定されている値などを変更することなく、そのまま受け入れてしまいやすくなる心理的傾向である。

デフォルトが推奨された選択肢であると認識したり、それを変更した際に起こり得る負担やトラブルを回避しようとすることが、デフォルト効果の一因と考えられている
Wikipedia(外部サイト)

デフォルトは「怠慢」という意味です

何も設定値がない場合に設定される値や、

何も選択しない場合に選択される項目を指します

IT関係者であれば、デフォルトという単語自体はなじみがあるでしょう

例えばデフォルトルートはマッチするルートが無い場合に選択するルートを指します

通販で物を購入した際

「今後メールでのお知らせを受信する」に

最初からチェックが入っているアレですね

最初から入っているという点が重要であり

人間は基本的には考えたくない生き物ですので

予めチェックが入っている場合、

あえてチェックを外すという、

思考が必要な行為はしない傾向があります

日常生活で見られる例として、

  • ハンバーガーを頼むと「セットでよろしいですね」とポテトとドリンクがほぼデフォルトでついてくる
  • 携帯電話の契約や、新しいパソコンの購入時に異常な量の不要なアプリ(と場合によっては料金)がついてくる

などがあります

ITに関わる人は、デフォルトでついてくるものは基本的にOFF

と考えることが多いのではないでしょうか

何らかの形で提供者側の利益のために入っていることを経験的に理解しているためです

デフォルト効果に陥らず、経験に基づいて判断できている例といえますね

デフォルト効果は非常に強いバイアス

専門分野であったり、影響が大きかったりする場合は

真剣に考えるためデフォルト効果を回避できる場合はあります

しかし一般にはデフォルト効果を回避することはかなり難しく

非常に強いバイアスであるといえます

日常生活の中でも数多く見られるということは、

それだけ実績があり、実際の効果が期待できるとも言えます

一方で、かなり思考を誘導できてしまう側面もあるため、

業務でデフォルト効果を活用する際には

本当にお客様のためになっているのか

よく考える必要があります

デフォルト効果をITコンサルに活用する例

デフォルト値を信用せず、最適な値かどうかきちんと検討する

システムを構築していると、数多くのデフォルト値を見ます

デフォルト値の怖いところは
まるでそのシステム提供側の推奨設定かのように思いこんでしまう点です

もちろん推奨値である場合もありますが、

本当にデフォルト(怠慢)な値である場合も多くあります

もしメーカー側の推奨値だったとしても、

お客様ごとに設計は異なるため、

今設計している環境での推奨値とは限りません

ITコンサルとしては、各値の設定および設計に責任を持つ必要があります

「デフォルト値なんで、たぶんそのままでいいでしょう」

のような思考はプロとして相応しくありません

既存資料も信用せず、現状をふまえ良く考えて活用する

プロジェクトを進めるにあたり、

プレゼン資料、手順書、スケジュール表など

先輩が作成した資料を目にすることが多くあります

既存資料を何も考えずに使うことはデフォルト(怠慢)であり、飛びつくのは危険です

フォーマットやフレームなど、作り方を流用するのは

時短の意味でも良い(むしろ使うべき)と考えます

しかし特にプレゼン資料や、設計を進めるための資料は

他のお客様に提示したのと全く同じものを出すのは避けましょう

理由は、お客様ごとに背景が異なり、話すべき内容も異なるためです

結果として各資料の持つメッセージも異なります

例えば設計方針について検討する際

既存資料では、当時のお客様の状況を見てAという方式が適していると考え

全体的な資料の方向性をAに導く形で書いているとします

Aに導くイメージの資料をそのまま他社に適用した場合、

他社で実はBが適している場合は、お客様が混乱することになります

注意すべき点は、明確にAがおすすめですと書いていないケースが多いことです

あまり積極的にA案を推すと押し付けている感じが出ることもあり

表の書き方や、本文のニュアンスでAに導く形もよくあります

既存資料を使う場合、まずどういうメッセージで作られているのかを読み解き
さらにそのメッセージは今回のお客様に適しているのかを十分に検討する必要があります

まとめ

行動経済学の理論の一つ、デフォルト効果をもとに

・デフォルト値や既存資料を安易に信用せず、本当にお客様に合っているのかを考慮する

というITコンサル現場での活用方法を紹介しました

ぜひ明日からの業務で意識していただければと思います

本ブログでは、

行動経済学をお客様を良い方向、最適な方向に導くための効果的な方法の一つとして紹介しています

「自身の都合のいいように操る、誘導する方法」では断じてありません、ご留意ください

他にも現場で使える知識をブログで紹介していますのでご覧ください

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