技術士二次試験の概要
本記事は技術士(情報工学部門)の二次試験を対象としています
二次試験には筆記試験と口頭試験があり、本記事は筆記試験について記述しています
口頭試験はほぼすべての人が受かるため、実質的な勝負は筆記試験となります
筆記試験日は7月中旬で、令和6年度は7月15日(月)の祝日です
合格発表は10月下旬となっています
筆記試験は大きく2つ、必須科目と選択科目に分かれています
両科目とも記述式であり、文章による回答を行います
また、情報工学部門二次試験の過去問題は日本技術士会から公開されています
必須科目
必須科目は2問から1問を選択し、答案用紙3枚で回答を行います
試験への対策として、次の3点が挙げられます
1.新しい技術に関する知識を取り入れる
令和五年度は1問目が生成AIについて、2問目が農業におけるデータ活用(DX?) がテーマでした
以前の過去問を見ても、レガシー系の知識より比較的新しい技術にフォーカスされています
技術士プロフェッション宣言にも以下文言があり、
新しい技術の情報を常にウォッチする姿勢が必須となります
「高度な専門技術者にふさわしい知識と能力を持ち、
技術進歩に応じてたえずこれを向上させ、自らの技術に対して責任を持つ。」
2.技術士としての課題へのアプローチ
過去問を見ると、特に必須科目については
技術士としての課題への向き合い方を問う傾向が顕著です
例えば生成AIについて
「技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、
それぞれの観点を明記した上で、その課題の内容を示せ」
という問題があります。
特に
「技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる
要件・留意点を題意に即して述べよ」
という文言が各問題の最後についており、
倫理面もかなり重要視されていることがわかります
上記の傾向を踏まえて、具体的な対策としては
日経コンピュータ、日経ビジネスなどの雑誌を読む、
技術系Webサイトを確認する、セミナーに参加する等が考えられます
前提として、単語の意味が分からないと合格は不可能に近いので
まずは単語の意味を押さえることが大事だと思います
ベンダー固有の単語(Chat GPTなど)はおそらく出てこないため、
汎用的な単語(AI関連であればLLM、XAIあたりでしょうか)が
どういう意味なのかをまずは押さえておくことが重要です
その上で特に重要となるのが、各技術に対して、どのように考えるかを
自分なりにまとめておくことです
具体的には以下のような項目が考えられますので、
新しい単語を見つけたら、その単語に付随する情報を広げていくようにしましょう
・技術の特徴
・どのような分野で、どのように使うと効果が高そうか
・課題はなにか
・解決策は何か、策の実行時に新たに発生しそうな問題はなにか
・(技術士としての)倫理的な留意点は何か
私も技術士試験を受けた際には上記の勉強をしていました
特に、自身がこの技術を使うとしたらどうなりそうかを想像することは
実務面でもかなり重要ですので、是非実施していきましょう
3.文章の記述方法を学ぶ
持っている知識について記述する機会はそれほど多くないと思います
メールなどで文章を書くことは日常的にあっても、
ある技術用語に関して概要、課題、解決策などをまとめて書くことは意外に難しいです
筆記試験では上記のような技術的な質問に対して、適切に文章で回答することが求められるため、
事前に書き方を学んでおくことをお薦めします
練習しておくことで、本番で書き方の迷いがなくなり、合格率はかなり向上します
具体的な対処法としては、以下がありそうです
・Amazonなどで書き方についての書籍を購入する
・添削サービスを受ける
私は実際に新技術開発センターの添削サービスを受けましたが、
かなりの赤ペンが入って返ってきて衝撃を受けた記憶があります
文章を読むのと書くのではかなり難易度が異なるため、
模範解答(文章)を読んでも、なかなか書けるようにならないと感じます
そこで文章を書く方の専門家の目で見てもらい、
書き方を正していくアプローチが非常に有効でした
一社のみしかサービスを受けたことがないため、
その他の企業の添削サービスとの比較は行いません
選択科目
選択科目は以下の4つから選択します
4つの科目のそれぞれにおいて大問が2つあり、その中でさらに4つの小問から1つ選べます
つまり選択科目で回答するのは合計2問、ということになります
・コンピュータ工学
・ソフトウェア工学
・情報システム
・情報基盤
大枠としての対策方法は必須科目と同じですが、
必須科目と比較して、かなり問われる技術内容が深いため、
単語自体を知っていることがさらに重要となります
例えば令和五年度では、
深層学習における勾配消失問題とは何か、その課題解決方法は
という小問がありました
勾配消失問題を知らない場合、残念ながらこの問題はパスすることになります
NFTとは何か、その実現方法は?という問題もあり、かなり詳細な技術知識が求められます
4つの小問から選べるため、1問でもわかればいいことになります
基本的には必須科目と同じ対策方法となりますが、
深めな技術的な内容を文章で説明する、という点は特徴的です
わかったつもりの技術であっても、説明することは難しいケースが多いため
対策としては新しい技術を学習した際、同僚などに一度説明してみるのがよいと考えます
技術士を目指している人が周りにいれば、その方と相互に説明する形がベストですね
さいごに
本記事の情報をもとに、情報工学部門の技術士や、
技術士に興味のある方が一人でも増えることを祈っています
前回の記事でもお知らせしたとおり、
登録によるメリットもかなりありますので、ぜひ受験をご一考ください